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18禁BLゲーム「鬼畜眼鏡」に溺れる管理人の萌えやSSで構成されたブログです。  ※18歳未満(高校生含む)はお引き取りください。  リンクフリーです。(詳しくは「はじめに」をご覧下さい。)

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太一誕

一日遅れの太一誕SSです。


太一の誕生日を祝えているSSとは思えませんが…。


ヤンデレ太一とフリーの克哉の話。

何END後なのかな?
本多友情END? でもないかな?

では、やまなしおちなしいみなしな太誕SSをどうぞ!


この東京という雑多な街に、佐伯克哉という名の平凡なサラリーマンは生きていた。

佐伯克哉は十一月下旬現在、プロトファイバープロジェクトが大成功のうちに終了し、新たな商品の営業活動に就いている。

以前とは変わって、積極性と社交性を身につけた彼はとても魅力的な好青年となった。
けれど恋人は作っていない。本人は自身がモテることに気付いていなくて、無意識にチャンスを回避してしまっているのだ。

そんな克哉は休日の今日、友人の一人から電話があり、彼の家に向かっていた。
友人の名は五十嵐太一。克哉の行きつけの喫茶店のバイト店員だ。
今日は、風邪を引いて具合が悪いので食料等を買ってきて欲しいと頼まれている。

もともと今日―11月23日―は太一の誕生日である為、克哉は太一の部屋を訪ねるつもりであった。
だが太一から今朝になって風を引いてしまったというメールが来たので、誕生日パーティーは延期となった。今日は太一の看病に変更だ。

思えば太一とは毎週のように会っていた。
太一から誘うこともあれば、克哉が喫茶ロイドに向かうこともある。
彼はこの所何かと克哉に会いたがり、克哉も彼が嫌いではないのでそれに応じている。

けれど最近、太一の様子がおかしいことに、克哉は気付いていた。

「あ! 克哉さんっ」

太一の部屋の玄関を開けると、いきなり尻に尾が生えていそうな太一が抱きついてきた。

「風邪じゃなかったのか? 太一…」
「克哉さん待ってる間に下がった」

太一のために買った薬や食料で両手が塞がっている克哉に、太一はぎゅうぎゅうと玄関で抱きついている。どうやらずっと正座でもして待っていたようで、そのまま膝立ちになって克哉の腰元に腕を回している。

「待ってる間って…! まさかずっとここで座ってたんじゃないだろうな!」
「……。違うよ」
「嘘! 今の間は嘘ついてる証拠だろ!? 駄目じゃないかベッドで寝ていないとっ」

太一の腕を解きながらずかずかと部屋に上がる。すると太一はまた克哉の腰に腕を巻きなおしてずるずると引っ張られていった。とても嬉しそうな顔をしている。

「こらっ。太一!」
「はい、克哉さん」

にこにこと返事をする克哉に呆れたような表情をして、克哉は太一を彼のベッドに寝かせる。

「…何か食べる?」
「食べたい。克哉さんが作ってくれるなら何でも食べられるよ」
「じゃあ粥を作るな」

うんっと元気よく返事しながら、太一はベッドから起き上がり、リビングに向かう克哉の後に付いて来る。
くるっと克哉が振り向いて睨むと、太一は満面の笑みを崩すことなく首を傾げた。

「太一はベッドで寝ていろよ」
「嫌。克哉さんと一緒に居たい。克哉さんがベッドの隣でご飯作ってくれればいいのに」
「それは無理だろ」
「あ、じゃあベッドをキッチンに持って行けばいいんじゃない?」
「太一。わがまま言うなよ」

思わず溜息を吐く克哉に、太一の目の色が変わる。
まずい、そう感じた瞬間には遅かった。

太一はだるさなど欠片も感じさせぬ身のこなしで身を翻し、ベランダへ出入りする窓のガラスに思い切り己の拳を叩き付けた。

「!!」

大きな破壊音が部屋中に響いて、ガラスが舞い散る。

息を呑む克哉と対照的に眉一つ動かさない太一は、ガラスで切れて溢れ出した自分の赤い血を舐める。
そのまま無言で克哉に近づいてきて、震える彼の前に腕を差し出す。
足の力が抜けへたりと座り込んでしまった克哉についていくように太一も膝立ちになり、尚も腕を見せ付けた。

「ね、克哉さん…」

静かな囁きに克哉の肩がびくりと震える。

克哉は太一が怖かった。

いつからかわからない。
気付いたらこうなっていた。

気付いたときにはもう太一は克哉に異常な程に執着していたのだ。

「克哉さん。俺病気なんだ…。看病して、くれるんだよね?」
「た…太一…! それは怪我っていうんだよ…!」

喉から搾り出した声で何とか返答する。が、何とも間抜けな答えに思う。
太一は確かに病気のようなものなのだ。

…――狂っているのだ。

「あっ、そっか。怪我駄目? 怪我は克哉さん看病してくれない?」
「するよ! するに決まってる!」
「良かった」

心底ほっとしたように太一は笑う。
それにますます背筋をぞくりとさせながら、克哉は救急箱を探そうと立ち上がる。太一はいつも病院には行きたがらないのだ。外科でも、内科でも、…きっと精神科も。

克哉の背中を追いかけるような太一の声を聞く。

「克哉さんがもう、俺のこと看てくれなくなっちゃうのかと思った」

克哉は振り返る。

そこには、克哉を全身で求め縛ろうとする―無邪気な邪気―とでも言うべき姿があった。

「大好き。克哉さん。ずっと俺のことだけ考えていて。俺の傍に居て。俺がそうしているように」
「た…」

彼の眼がどんどん大きくなっていく錯覚に克哉は溺れた。

「無理なんて言葉は聞かないよ。これは俺の愛の証なんだ。貴方のこと想うとこうしてすごい痛みが俺を苦しめるの。貴方が俺を愛してくれないなら、この痛みはきっと俺を殺しちゃう」
「たいち、太一…っ」

部屋が歪んで見える。
中心には太一の両眼。大きく見開かれて克哉を捉え、固定する。

――抗えない…吸引力。

「俺が死んでもいいの? 看病しなくて良くなったって笑うの? それは駄目だよ。俺克哉さんも道連れにしちゃうから」
「太一! とにかく血を止めないと!!」

ふっと魔力のような吸引力が止んで、太一が眼を瞑ったことに気付いた。

ただ、今度は彼の唇から眼が離れなくなる。

「止まらないよ。これは止まらない。克哉さんへの、愛なんだから」

再び双眸が開かれる。

「ねぇ、ハッピーバースデーって、言って。克哉さん」
「…っ。は、ハッピー、バースデー……太一…」
「ありがとう克哉さん。俺、欲しいものがあるんだ」



11月23日。

この東京という雑多な街から、佐伯克哉という名の平凡なサラリーマンは、消えた。




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