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18禁BLゲーム「鬼畜眼鏡」に溺れる管理人の萌えやSSで構成されたブログです。  ※18歳未満(高校生含む)はお引き取りください。  リンクフリーです。(詳しくは「はじめに」をご覧下さい。)

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みどかつSS「愛」

※空白の存在感END後を書いた、拙作「欲望」「罰」の続きです。

これにて最終回。
欲望には罰と、愛をあげましょう。


完全に救われない話を求めていた人も、
ハッピーエンドを求めていた人も、
がっかりすることでしょう…。 ←


締めの一文は、以前拍手でいただいたお言葉の中にあって、私がすっかり気に入ってしまったものです。
拝借させていただきました。すみません^^;
ありがとうございました。


では、続きからどうぞ。


「は?」

御堂らしからぬ声が漏れてしまった。
上司からの思いもよらぬ「頼み」に。

「だから、見合いをしないか。いい女性がいるんだ」

気を悪くした風もなく言い直す上司は、MGNを辞めた御堂をこの会社に引き抜いた張本人で、御堂にとって大恩ある人物だった。
その上司に、最も断り辛い上司に、縁談を持ちかけられた。

MGNに居た頃は悉く断り続けた所為で、いつからか五月蝿く見合いを勧められることもなくなった。
だがこちらではそんなことなど知りもしないのだ。
御堂は硬直してしまった。

金曜日の終業間近の時間に呼び出され、言われた内容がこれか、と恨み言を言いたくなる。
御堂は政略結婚などは嫌いである。だが自身に利益になれば恋愛結婚でなくても良いと考えていた。
ポイントなのは他人にお膳立てされてするか自己が裁決を下すかなのだ。
だから今まで見合いの話は総て断ってきた。

だが、現在はそれともう一つ、見合いを受けたくない事情がある。

最愛の人を見つけてしまったことだ。
相手とは同性であるため結婚は出来ないし、例え異性であっても「こんな関係」となった今彼と結婚などは叶うはずも無いが、とにかく御堂は今、一人の男性――佐伯克哉――を真剣に愛していた。
彼が居るのに結婚などができるはずもない。

けれど。

現在の上司の命令を断ることは至極困難だ。
御堂は当然この場では直ぐに返事が出来ず、帰宅した。



***



自宅のソファに腰を下ろし、溜息を吐く。
息が苦しい。首を絞められているようだ。

(…こんなに悩んで、私は馬鹿ではないだろうか。)

そんな想いが胸をよぎる。

今、御堂と彼が愛している青年の「関係」は、セックスフレンドに近い。
自分がそう仕向けたようなものだ。
そんな彼に義理立てて、出世を蹴ることにどれ程の価値があるのだろうか。

(いや…。無理だな……)

疲れた頭で御堂は考える。
ネクタイに指を入れて解き、少しでも喉の圧迫を取り除こうとする。

自分には克哉と別れて、彼以外の人間をフリであっても愛することなど、もう出来ないだろう。

(克哉…)

彼のしっとりとした肌。
熱い口内。
締め付けてくる後孔。
高い喘ぎ声。
青みがかった瞳。
それら総てが御堂の胸を切なくする。

(彼の…心が、ほしい……)

御堂は決めた。

「克哉が、『私』を少しでも想ってくれるのならば、見合いなど断ろう」

数多居るセックスフレンドの中の一人ではなく、御堂孝典という「個」に、僅かでも好意を持ってくれているのならば。
それならば御堂は何度でも見合いを蹴って、克哉だけのために生きたい。
…だが、もしも。(その方が可能性は高いのだが。)
もしも、一抹も特別視されていないというのなら。

「私の変わりは幾らでも居るというのなら、私は…。克哉から身を引くしかない…」

ネクタイは緩めたのに、御堂は少しも苦しそうな顔を変えられなかった。



***



「どうなさったんですか? そんな怖い顔をして」

土曜日、御堂に呼び出された克哉はホテルのレストランで御堂と向かい合っていた。
御堂は考えた結果、この場所を指定した。
克哉は人が居なくなると―場合によっては居てもだが―直ぐに性行為を仕掛けてきて、話どころではない。
こんな話を人が多い場所でするのも気が引けたが、それでも理性的な環境で話したかった。

「話がある」
「はい。それは電話でもお聞きしました。…悪いお話なんですか?」

御堂を心配そうに窺う克哉は、どこからどう見ても「狂って」などいないようだった。
御堂がMGNに勤めていたころ―「こんな関係」になる以前―に比べれば、やや親しげに話はするが。

言葉を渡せば、きちんと返してくれる。瞳にも、仕草にも、異常は少しも見当たらない。
けれどひとたびスイッチが入れば、途端に淫乱で毒々しい雰囲気になるのだ。

「…そのような話だ」
「……。どうぞ、話してください」
「――見合いをすることになった」

え、と小さな声が克哉の喉から漏れた。

御堂は彼の一挙手一投足に注目する。どうか自身の望む反応を示してほしいと願いつつ、克哉の些細な動きを見逃さぬように。
克哉は真剣そうな顔から、突然笑い出しそうな表情に変化した。

「はは、なーんだ。深刻そうなお顔をなさるから、どんなことかと思ったら。たかがお見合いですか」
「! 『たかが』!?」

可笑しくてたまらない、と言いたげに口元を隠して笑う克哉に、御堂の片眉が上がる。
しかし克哉は彼の視線に臆する風も無く応えた。

「ええ。関係を終わらせたいとかいう話しかと思って、ちょっと身構えてしまったのに」
「同じような話じゃないか! 私が見合いをするということは、近々結婚するということだ。それはつまり…―」
「別にオレ達は別れなくても構わないじゃありませんか」
「っ!?」

克哉の瞳に狂気の色が滲み始める。
綺麗な蒼が深みを増して、藍に変わっていくようだった。

御堂の脳内で警鐘が鳴る。けたたましく。

「オレを、貴方の愛人にでもなさればいい」
「なっ」
「いけませんか?」

ずいと顔を寄せて微笑む克哉はまるで悪魔のように魅力的だった。
御堂は煩い脳内を静まらせようとするかのように頭を振る。

「いいわけがないだろう!? 私の結婚相手にも失礼だし、常識で考え」
「でもオレは、あなたがいい」
「れば、…――は?」

自己の主張に重なって聞こえた克哉の言葉に、御堂の思考が停止する。
何故か外気が一瞬で5℃程下がったかのような気配。心臓を鷲掴みにされたようだ。

「今、なんて…」

御堂の声が掠れる。
みっともないとどこかで思う自分がいたが、いたしかたないだろう。

「オレはあなたと切れたくないです」
「なぜ…」
「べつにあなた以外にも相手はいますけど、誰でも良いんですけど、でも…」

克哉は言葉を探すように一旦口を閉ざし、斜め下を見やる。
そこでようやく御堂は克哉の瞳がいつもの情事の際の色と僅かに違うことに気づいた。

「あなたが一番いいんです。…何でかはわかりませんが……」
「――っ!」

克哉にそう言われて、御堂に迷う必要があっただろうか。

例え克哉が自分の思いに名前をつけられなくても。
それを愛とは呼ばないかもしれなくても。
けれども、御堂を特別視してくれている。

それだけで御堂は見合い話を断れるし、これからも克哉と関係を終わらせられなくなるのだ。

まだ、自分は彼を壊し切っていなかった。
希望は残っている…。

恋と呼ぶには汚れすぎた、この気持ち。
愛と呼ぶには汚れすぎた、この気持ち。

御堂はこの気持ちを捨てることが、出来なかった。

「――部屋に、移ろう」

御堂の苦しい極楽のような、そして楽しい地獄のような日々は、まだ終わらない――。




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