FC2ブログ

M&K

18禁BLゲーム「鬼畜眼鏡」に溺れる管理人の萌えやSSで構成されたブログです。  ※18歳未満(高校生含む)はお引き取りください。  リンクフリーです。(詳しくは「はじめに」をご覧下さい。)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

SS「幕末パラパロ」・第三夜 ―太一―

第二夜(前回)

幕末パラパロ・最終夜、太一編

御堂編
本多編

克哉に問うたのは、太一だった。

食事処の息子、五十嵐太一。彼は子供の残酷さと強かさを失わない青年で、善悪に囚われずに自己の望みのためにのみ生きていた。
終わりだと、克哉は思った。

「そんな…」

終わりだ。
あの太一が自分の犯したことを黙認してくれるはずが無い。恥ずかしい咎人として、皆の前で罪を暴かれ、批難されるのだ。もうこれで終わりだ。

太一の家に消灯時刻を過ぎた頃来てと言われた時点で、こうなるのではないかと危惧していた。千里眼のような太一の双眸から逃れられるはずがないのだ。それでも行く外はないので渋々訪ねると、白い着物を纏い腰に日本刀を刺した姿で太一は座していて、克哉に向き直った。そして厳かに、最近の事件の犯人はあなたではないかと訊ねられたのだった。

「どうして、そんなこと言うんだ…?」

震える声で、何とかごまかそうと言葉を紡ぐ。克哉の形の良い頭の中では必死に道を探っているが、しかしそんなものは無いのだという声も聞こえる。克哉は正座した膝の上で両の拳をぎゅっと握りしめた。これから襲い来るだろう痛みに耐える為に。

しかし、予想していたそれは現実にはならなかった。

「隠さないでよ。隠し通せるわけないんだから」
「…っ」
「俺はあなたが夜中に町中を歩いて居るのを見たことがある。…―そして、その夜事件は起きた。俺もこれだけで直ぐに因果関係を疑うことはないけど、でも独自の調査を進めているうちに被害者たちの話から犯人は貴方だと判明した」

静かな笑顔で太一は事実を語った。子供を木に登らせてその子が降りたいといって泣きべそをかいても、ただ穏やかに見ているだけのような不気味さで。

話とやらは秋紀からだろう。彼は口の重そうな少年ではなかった。むしろ秘めた恋を語る相手を求めていたはずだ。

だが、太一は克哉の思っていた行動―すぐさま縛り上げ、奉行所に突き出す―を取らない。仄かに喜びを見せながら淡々と言葉を流し克哉の精神を削るだけだ。何故なのか。

克哉は覚悟を決めた。ここまで暴かれたのなら、太一の中で今回の犯人は克哉と断定されている。言い逃れは微塵も出来ない。それなら白状し、裁かれるのを潔しとしたのだ。

「…お前の考えてる通り、一連の事件はオレが犯人だよ。……さあ、何でも罰を受けるから、裁いてくれ」

沈痛の面持ちで克哉が土下座をすると、太一はそれを制して言った。

「あなたの罪は明るみには出ない」
「…え……?」

思わず顔を上げた克哉の目に映った気がしたのは、似合うのは可笑しいはずの刀を当然のように差した青年だった。ぎゅうと心臓を鷲掴みにされたような感覚が、した。

「俺のある関係者に、川出さんっていう隠密みたいな人が居るんだ」

面白い秘密のように教えられたのは、克哉の知らない人間のことだった。隠密ならは幕府の裏の犬として忍者のようなことをする集団だ。かなり尊敬しているらしい口調で太一が言うのもあるが、恐らく彼とは極道の繋がりがあるだろう。

「そして事件の犯人のことはあなたと、俺しか知らないことだ。口外はしない。川出さんを使ってあなたを新撰組から抜けさせてあげる」
「太一…」

畳みに指をそろえて手を突いたまま、救いを見出したかのように本多に視線を注ぐ克哉に、太一は言い放った。ヤクザ者の精気を隠さずに。

「俺の女になってもらうよ」

一瞬、克哉は意味を図れなかった。

太一も何も言わないので、克哉はゆっくりとその言葉を咀嚼した。そして漸く理解し始めると、みるみる顔を赤く染めていった。

「な…っ、なんで…!」
「なんで? 決まっているでしょ。あんな事件を何件も起こすってことは、あなたがそれだけ性欲を持て余してるってことだ。それを解消しようと言うんだ。有効な方法でしょ」

場違いに明るいの声で太一が言う。しかし克哉には外国の言葉に聞こえたことだろう。
罪を償う為に切腹をすると比べたら当然太一と共に寝ることの方が遥かにましだが、男と交わることを好むのは眼鏡を掛けたもう一人の克哉であって、自身ではない。
それにしても、太一が克哉と抱き合うことを何と思っているのかが全く分からなかった。

太一は真っ青な顔をした克哉に、思考力を奪う為か、絶望を与える為か、要求する。

「俺の家に入ってもらうよ。他の男になんか見向きして俺を悲しませた罪を償ってよね。その身体で、永遠に、さ……」

その言葉に、ぞくりと背筋が震えたのは、果たして気のせいだろうか。




スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。