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18禁BLゲーム「鬼畜眼鏡」に溺れる管理人の萌えやSSで構成されたブログです。  ※18歳未満(高校生含む)はお引き取りください。  リンクフリーです。(詳しくは「はじめに」をご覧下さい。)

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みどかつパラレルSS「蝶と蜘蛛・捌」


の続きです。


※御堂さんが高校生三年生で克哉は25歳で教師です。
御堂さん以外の原作キャラは皆原作の設定どおりの年齢です。
つまり御堂さんだけが若返りしています。 ←


※※高校生で一人称が「私」は違和感あったので御堂さんは「俺」と言っています。


今回あまり御堂少年は出てきません。


では、続きからどうぞ。



「おー克哉! 遅かったじゃねぇか」
「ごめんごめんっ」
「いいけどよ、って――あれ?」

退屈そうな松浦と一緒に待ち合わせ場所で克哉を待っていた本多は、その克哉の後ろに一回り小さい影を見つけて、訝しんだ。

今日は快晴。
本多の気性のようにカラッとしていて、友人たちと過ごす久しぶりの休日を盛り上げてくれそうな空だった。

本多たちの背後には飾りつけられた大学の建物が並び立っている。
その内外を、年に一度の文化祭を全身で楽しんでいるような大学生たちが、大勢行き交っていた。

「えと、今日は大学の雰囲気を見てみたいからって言って、生徒を連れてきちゃったんだ」
「そりゃーいいけどよ…」

気の置けない友人同士遊びまくろうと思っていた本多の前に立ったのは、以前からいけすかないと思っていた自身の勤務先の生徒・御堂孝典だった。

「一人なのか? どうせならいっぱい連れてくればいいのによ。
ていうかこいつどうせ東慶に行くんだろ? なんで菊池学園見に来んだよ」

あからさまに邪魔者を見るような目で見てくる本多に対し、御堂はつんと顔を背けて答えない。克哉がまぁまぁ、と何の説明にもなっていないことを言って皆の背中を押した。

「とにかく文化祭楽しもうよ! 松浦も待たせちゃってごめんな」
「こいつと二人でいるのは非常に厭だった」
「ごめんってば」
「おい松浦、克哉! 俺のことなんだと思ってるんだ!」

賑やかに話す元同級生三人組を、御堂は一歩後ろから眼を眇めて見ていた。



***



「お、あれやってみようぜ!」

大学の構内は至る所で催し物が行われていて、本多はそのどれにも飛びつくようにして文化祭を満喫していた。
昔から、運動はできるが勉強は少し抜けたところがある本多は、人気者だった。
そのため顔が広く、行く先々で後輩に声を掛けられる。

「えー射的~?」

うんざりしたような声で克哉が不満を訴えるが、やる気満々な本多には響かない。
いいからいいから、と言って四人分のお金を払ってしまっている。負けた者がおごるそうだ。

「もう今まで買ったものとか景品とかで両手塞がってんだけど!」
「そう言うなら佐伯はやらなくていい。不参加として料金を支払え。そして荷物持ちをしろ」

冷淡なことを言うのはその声と顔からは想像もつかないが実は熱血な男、松浦だ。
負けず嫌いで根に持つタイプな松浦は勝負事をするには厄介な相手だ。
口元の黒子とその涼しげな目元の所為でクールだと思われがちだが、意外に本多に負けず劣らず暑苦しいのだ。

「松浦…。わかったよ、オレもやるよ」
「ちくしょ~外した!」

一回一発百円で、七メートルほど離れた場所に並べてある景品・ぬいぐるみなどを玩具のピストルで打ち落とすゲームだ。
弾が当たっただけでは景品はもらえない。ぬいぐるみを倒すまたは台から落とさなければならない。
本多はとある民放のバレーボール大会のキャラクターを狙ったが、惜しくも掠っただけだった。

続いて松浦がピストルを構える。

「……」

松浦がすらりと拳銃を持っているさまは、それが玩具であっても何となく危険な感じがした。

「危ないもの持ってるのが似合うんだよな、松浦って…」

思わず呟いた本多の耳元を、松浦の持つ拳銃から放たれたBB弾が勢いよく飛んだ。

「ああ、手元が狂った…」

どんだけ狂えば松浦より後ろに居る俺に当たりそうになるんだよ! と叫びたい本多だったが、情けないことに声が出なかった。
言わずもがなではありますが、人に向けてピストルを撃ってはいけません。

「まつうら~!」
「次は佐伯の番だ」

全く悪びれずに松浦はピストルを克哉に手渡す。
むむ、と唸りつつも荷物を置きそれを受け取って、両手で狙いを定める克哉。

御堂は先程からと変わらず、ただ黙って見つめた。

片目を瞑る真剣な様子は今まで御堂が見たこともないような顔だ。
一人の成人男性として、何の不思議もなく存在していた。

彼が例えば年下の同性に脅されているなんて。
そして、例えばその相手に犯されているなんて。
さらに、例えばその相手が今彼の隣に居るなんて。

誰も思わないだろう。

「あ、やった!」

本多が狙っていたあのぬいぐるみを打ち倒し、無邪気に喜ぶ姿からは、誰も想像できないだろう。
こうしていると、「その相手」である御堂本人にさえ、わからなくなる。自信がなくなる。

彼を支配した記憶が事実かどうか。

克哉が手に入れた人形を本多に渡している。
喜ぶ本多に、照れたような克哉。

自分はあんなふうに彼から何かを無償でもらったことがあるだろうか。
もらえる資格が、あるのだろうか。

「お前の番だ」

松浦に言われて、御堂はピストルを構える。
しかし上の空だ。

何かを狙ったような気がするが、それが何かわからなくて、結局何も手に入らなかった。



***



「んー、今日は楽しかったな~」
「ああ」

満足げに伸びをする本多の傍らで、松浦も心なしか口元に笑みを浮かべていた。

射的ゲームでは反則負けとしてゲーム代をおごった松浦だったが、その後の輪投げ、知恵の輪外し、豆拾い、クイズでは三位以下にならず、好成績を収めた為、非常に機嫌が良かった。
ちなみに克哉は総てにおいて一位を取った。

「それでは、俺はここで失礼します」

大学の正門前で、御堂は三人にぺこりと礼儀正しくお辞儀をして、さっさと帰ろうとしていた。
克哉たちはこのあと例年通り昼食をとってから本多の家で飲もうと思っていたので、この申し出はありがたかったが、克哉は御堂の様子に違和感を覚えて引き止めた。

「御堂くん、どうかした? 体調悪いわけじゃないんだったら一緒にご飯食べ行かない?」
「いいえ、結構です。本日はありがとうございました」

丁寧だが有無を言わせない調子で御堂は言い、克哉の顔を見ないまま踵を返し、歩き去った。

「どうしたんだろう、何か元気なかったよね…」

御堂のことを心配する克哉に、彼のことが気に入らない本多は適当はことを言う。

「全敗したから不貞腐れてんだろ。ったくガキだよな」
「それはお前だ。…彼は無口な子なのかと思ったが」
「それこそ『それはお前だ』だぜ、松浦。あいつはいつも五月蝿いんだ。しかも嫌味しか言わねぇ」
「そんなことないよ!」

思わず御堂を庇うように大声を出す克哉を、二人はびっくりして見つめた。

「あ、ごめん。と、とにかく、仕方ないから三人でご飯食べいこっか」

気まずそうに克哉は言って、御堂が帰った方向とは反対の道を歩き出した。
何となく居心地の悪い末来を予感しながら。





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